診療所の診察で、雑談をする意味

家庭医として患者さんと関わっていく中で、病気とは何か・健康とは何か・死とは何か…など様々なことを見つめ直す日々です。
 
安定している定期患者さんが診療所外来にはたくさん来ます。むしろそのような人が多数派です。
たまに世間話のように趣味の話なんかもします。
これは別に何となく時間があったからしているわけでも、親しみやすさをアピールしているわけでもありません。
 
例えば洋裁を趣味にしている人がいます。洋裁では針に糸を通さないといけません。
ということは、この人にとって洋裁ができる程度に目がしっかりしていることや、手先が動くことは非常に重要です。
人によっては多少目が見えづらくてもそれほど気にしていない人もいます。年のせいだから、といって。同じ目がみえにくいでも気になる程度が違うのです。
そして体の状態をどう感じるかは、その人の生活に大きく関係します。
膝の調子が悪くても日常生活に問題が無ければいい人と、プロスポーツ選手で高いレベルでの身体能力を発揮しなければならない人ではだいぶ違うわけです。
 
病気であってもなくても、身体機能の低下についてそれがどのような意味を持つのか、個別性の高い問題に対応することも家庭医の役割のひとつだと思います。
一見病気とは関係のないような趣味の話をしたり家族関係や社会背景にも目を配ることには、そのような目的があるのです。
 
本当に雑談の時もあるかもしれませんが…