便のこと下痢のこと2

(前回から続き)
「水分をとるから水のような便が出てしまう。水分をとらなければ下痢は止まるはず」と思って水分をとらないようにしていたという人もいます。
 
これは前回の記載からの引用ですが、こう考える人は胃腸炎で腸が弱っているために摂取した水分は腸で吸収されず、そのまま出てくるというイメージを持っているのかもしれません。口から入った水がそのまま肛門からでるようなイメージ。それなら確かに水を飲まないと下痢が止まりそうです。
しかし実際にはそうではありません。ひどい下痢症を経験した人はわかると思いますが、あの時出ていた下痢の量は飲んだ水分量を明らかに上回っていなかったでしょうか。
 
実は腸では水分を吸収するだけではなく、分泌もしています。腸から水分が出ているのです。
飲んだ水分は腸管の粘膜から吸収されて細胞内に入るとともに、腸管の粘膜からさかんに分泌もされているのです。この水分吸収は1日に約9L、分泌も1日7Lといわれています。
つまり下痢の時に水のような便が大量にでるのは分泌が多くなっているということなのです。
出ているのは飲んだ水だけではなく腸で分泌された水分もありますから、水を飲まなくても下痢として出てしまうのも当然です。
ただしこれは専門用語でいう「分泌性下痢」の説明で、いわゆる胃腸炎の場合がこれに当たります。
腸炎では、病原体によって腸の粘膜がダメージをうけて浸出液という水分がでたり、それらの刺激によって分泌がさかんになったりします。そうして水のような便が大量にでるというわけです。(吸収が悪くなっているという面もありますが。)
 
水を飲まないでいると体の外に水分が出ていく一方です。すると脱水になってしまいます。
だから胃腸炎のときはしっかり水分補給をすることが重要なのです。