便のこと下痢のこと3

(続き)
腸炎では脱水にならないようにしっかりと水分を補給することが重要なのでした。
 
要は下痢によって脱水になることが胃腸炎のもっとも注意すべきことなのです。逆に言うと脱水にさえ注意すればいくら下痢がでようがあとは自然に治まるのを待つだけです。
 
とはいえ下痢が頻回にでるのはつらいもので、患者さんの中には「下痢止めをください」という人もいます。
しかし、これはよくありません。胃腸炎では腸の中で病原体が悪さをしており、それに対する反応として下痢がでているという側面があります。つまり下痢と一緒に病原体も排出してしまうという防御反応です。ですから下痢止めは胃腸炎の回復を遅らせると考えられ、使わないのが原則です。
腸炎ではいくら下痢が続いていても通常下痢止めは使わないんですね。頭痛に鎮痛薬、発熱に解熱薬はよく使われますがそれらとはちょっと違います。
 
ただし、それは原則です。通勤のときに電車の中で催しては困る、とか、大事な試験や面接がある等の個別の事情に対しては下痢止めを使ってもいいと思っています。下痢止めを一度でも使ったら治らないというわけではありませんから。
その患者さんにとっての下痢止めを使うメリット・デメリットを一緒に考えた上でを使うという選択肢もあるでしょう。