診療ガイドラインと家庭医の専門性について その2
さて、診療ガイドラインについての二つ目の指摘です。
診療ガイドラインはもともと臓器別専門医が作っていて、「その疾患だけ」がある場合の推奨になっているので複数の疾患をもつ患者さんのことは想定されていません。今は関連する様々な科の医師がその作成にかかわっていますが、患者さんが抱える疾患の数は一つや二つではない場合も多いですから、それぞれの組み合わせで推奨を提示するのは実質不可能です。
しかし現実にはこういった患者さんはとても多いです。特に高齢の患者さんは。
家庭医の力が発揮されるのはまさにこのような患者さんにおいてです。
その場面では患者さんがどのように病気に向かい合うべきなのか、その人が考える「健康」とは何なのか、など答えの無い問いを考え続ける姿勢が必要になるのだと思います。