ひどい咳に悩まされながら思うこと

家庭医として患者さんと関わっていく中で、病気とは何か・健康とは何か・死とは何か…など様々なことを見つめ直す日々です。
 
数日前から微熱と咽頭痛・鼻水があり、徐々に改善傾向となっていましたが今は咳に苦しんでいます…。
こうやって自分自身が何らかの病気に罹患してその症状を体験すると、患者さんの訴えることがより実感として理解できるような気がします。
今回かなりしつこい咳を味わっているおかげで、かつて聞いていた患者さんの訴えはこれだったんだな、と思える自分がいます。
 
さて私はいつも患者さんから症状について聞く立場ですが、「言葉で説明するのは難しいんですけれど…」と説明に困ってしまう患者さんは多いです。実際自分の症状を正確に人に伝えるということはかなり難しいですよね。
 
例えば「咳」と一口にいっても、その様子は色々です。患者さんの表現も人それぞれです。
しかしある程度共通する訴えというのがあります。咳を例にとると、「咳がひどい」という訴えの中味で良く聞かれるのは「1回でると連続してでる。」「咳をしすぎて胸が痛い。」「咳を何回もしているせいで喉が痛い。」「何となく喉に違和感があって咳がでる。」「喉に痰が絡んだような感じがして咳がでる。」「話をしようとすると咳がでる。」…などです。
このような訴えはよく聞かれるので、言葉で理解してわかったような気になっていました。
しかし今まさに上記の訴えのような咳をしていて、「ああ、この感じなのかな。」と実感しています。この体験を通じて感じていることは、実際に体験すると患者さんの苦しさつらさがわかる(と思える)ことが一つと、今後同じような咳を訴えを聞いた場合、以前よりも自信を持って「大丈夫です」と言えそうだということです。
症状の程度がひどく、つらいと言われると重篤な病気のことが頭に浮かびやすいですし多少は身構えますが、自分が経験したことがあれば、慌てることは無いしその後の経過についての説明も説得力が出てきます。
今回はなんだかんだで結局は風邪でしょうから、こんなことを言っていられるのかもしれませんが。