ずっと続いていますを考える

同じ表現でも、人によって伝えたい内容が違うことはよくあります。
診察の場面ではそれをきちんと把握するかでその後の対応が違ってきますので、その人が伝えていることが具体的に何なのかを常に考えるようにしています。
 
よくあるのは、「ずっとです」という表現です。例えば、咳で受診した人に「いつからですか」と聞くと、「ずっと続いています」と言われる場合があります。
 しかし同じ「ずっと」でも、1週間で「ずっと」の人もいれば、1ヶ月、半年、あるいは年単位の場合もあります。
症状が続いている期間が1週間の場合と年単位の場合では考える病気や治療、対応するスピード感が違ってきます。1週間の咳では風邪の場合が多いでしょうし、半年以上も続くのなら癌を考える必要がでてきます。
ですから、その人の言う「ずっと」がどのくらいの期間をさすのかはきんと聞き直すようにしています。
 
これって日常生活でもそうです。誤解が生じたり、議論が噛み合ないときはそもそも話のスタート地点が違っていることが多いように思います。
例えばサンタクロースがいるかどうかを議論するときに「いる」の意味が違うと話になりません。
私の心の中にサンタクロースが「いる」という人、絵本出てくるようなサンタクロースの実物が現実世界には「いない」という人、この2人の議論は「いる」「いない」の意味を共有しなければ永久に平行線でしょう。
 
少し飛躍しましたが、人の話は言葉を聞くだけではだめなことがあって、その言葉が示す具体的な内容を確認にする必要がある、という話でした。