第3位肺炎2

高齢者の介護をしている人はよくご存知かもしれませんが、この誤嚥性肺炎というのは非常にやっかいな病気です。
…ここからの続きでした。
 
誤嚥性肺炎とは、唾液等の分泌物や食べ物を誤って気道に吸い込んでしまった結果おこる肺炎のことです。簡単にいうとむせて肺炎になるわけです。
 
人の体は空気の通り道と食べ物の通り道の入り口が一緒です。口ですね。(鼻は空気の通り道だけですが)
口から入って最初は共通の道で、途中で空気の通り道と食べ物の通り道に分かれています。そして空気は肺へ、食べ物は食道を通って胃に到達するわけですが、通常は食べ物が間違って肺に行ってしまうことはありません。なぜなら食べ物が肺に向かうか胃に向かうかの分岐点にさしかかる時に、肺に行く道には蓋がかぶさってしまうからです。喉頭蓋という蓋です。
ごっくんと食べ物を飲み込むときに喉が動くのを感じると思いますが、この瞬間に喉頭蓋が動いて肺への道を塞いでいます。
 
この仕組みがうまく働かなくなると、食べ物が間違って肺の方に入ってしまうわけです。  食べ物には口の中に元々いる細菌もくっついていますから、それらも一緒に肺の方に入ってしまい、それが原因で肺炎がおこってしまいす。
 
この誤嚥性肺炎は多くの場合入院での抗生剤点滴治療でほどなくよくなります。病気そのものは、程度にもよりますが重症になることは少ないのでそれほど怖い病気ではありません。
 
ですが、誤嚥性肺炎の原因となっている「誤嚥」が問題です。誤嚥性肺炎になったということは誤嚥がおこっていることを意味します。それは飲み込む力が弱まっているということです。
年をとれば誰しも若い頃よりも力は弱くなります。元気に歩けていた人も、杖が必要になることもあります。手先が器用だった人も、以前のような作業ができなくなります。
同様に、飲み込む力も弱くなり以前は何でもなかったものが飲み込みにくくなることもあるのです。嚥下機能の低下といいます。
 
誤嚥性肺炎でやっかいなのは肺炎は治療できても、嚥下機能の低下そのものを治すことが難しい点です。それは加齢による変化であることが多いからです。(もちろん何らかの疾患が原因のときもあります)年をとることは誰にも止められませんから、嚥下機能低下そのものを治療することは難しいのです。ですから、誤嚥性肺炎は繰り返すことが多くなります。
そうして誤嚥性肺炎をおこすたびに徐々に衰弱していき、さらに嚥下機能が低下する、という悪循環になります。
 
ついには食事をとることも難しくなり、最期を迎えることになります。このときに肺炎の治療をしている中で息を引き取れば死因が肺炎になり、これが死因別死亡数の統計で発表される「肺炎」の多数を占めていると思われます。
 
死亡数第3位肺炎の正体は、高齢者の誤嚥性肺炎なのです。
 
ではこの誤嚥性肺炎にどのように立ち向かえば良いのでしょうか。
(続く)