第3位肺炎

日本の死因別の死亡数は長らくがんがトップで、次いで心疾患、脳卒中の順でしたが2011年から肺炎が脳卒中を抜いて第3位に浮上しています。特に年齢別にみた死因の割合では高齢になるほどじわじわ肺炎の割合が増えていることがわかります。
これをネットで検索すると、その理由については「高齢化が進んだため」と非常におおざっぱな分析がされていることも多いですが実際それはどういうことでしょうか。
この高齢者の死因の第3位を占めるようになった肺炎とは何なのでしょうか。
 
ところで肺炎という病気がどのようにしてなるか、普通の人のイメージってどうでしょう。
自分自身が医者になる前の感覚でいうと、風邪をこじらせて肺炎、肺結核、あるいは何となく肺炎、などというイメージしかありませんでした。(あまり深く考えたことがなかったようです。)
ところが高齢者に関して、特に死亡原因となるような肺炎で大多数を占めるのはかつて私が何となくイメージしたような肺炎ではないんです。
いくら高齢者といっても、医療の発達した現代において通常の肺炎で亡くなるというのはそんなに多くはならないはずで、入院して抗生剤で治療すれば治ることの方が断然多いわけです。
もちろん高齢者は免疫力が低下している、併存疾患が多い、症状が出にくくて発見が遅れる、などの理由で重症化しやすいことも確かでしょう。しかしそれらが肺炎で死に至る一番の理由ではないと思います。
 
高齢者の死亡原因の肺炎の多くは誤嚥性肺炎といわれる肺炎だと思われます。
誤嚥性肺炎とは、唾液等の分泌物や食べ物と一緒に口の中の病原体を誤って吸い込んでしまった結果おこる肺炎のことです。簡単にいうとむせて肺炎になるわけです。
これは自分自身、医者をしてから初めて知った衝撃の出来事の一つでした。高齢者はむせて肺炎になるんです。
高齢者の介護をしている人はよくご存知かもしれませんが、この誤嚥性肺炎というのは非常にやっかいな病気です。
(続く)