我が子が一番可愛いという話

診療所には小児もきます。
まだ2ヶ月くらいの乳児から中高生まで、予防接種・乳児健診・感冒・胃腸炎…など様々なきっかけで来院します。
お母さんが連れてくることが多いですね。
 
子供は可愛いなあと思います。
例えば9-10ヶ月で乳児健診にくる親子。
お子さんはかわいいですし、子供は好きですから、自然と「かわいいですね」などの言葉がでてきます。
そうするとお母さんは微笑みをかえしてくれます。
きっと我が子を「可愛い」と言われて嬉しくて自然に笑みがこぼれるんだろうと思っていたのですが、それだけではないかもしれません。「いやいや、うちの子の可愛さはこんなもんじゃないですよ」という思いも心のどこかにあるのではないでしょうか、というのは考え過ぎでしょうか。
というのも、毎日毎日子供と一緒にいるお母さんにとって診療所でほんの一時会うだけの医者に可愛いですねと言われても、我が子の可愛さの何万分の一も見せられてないって気になるんじゃないかなあと。
いつも一緒にいるお母さんにだけ見せる極上の瞬間があって、けれどそれは言葉では伝えきれないし、写真や動画にも残すこともできない、何者にも代え難い瞬間。
お母さんはそれに毎日何回も出会うのでしょう。
「かわいいですね」の一言ではとてもとても。表現できるわけはないですね。
 
我が子が一番可愛いってよくいいます。それは自分の子供なんだから当然そう、なんですけれど、その理由のひとつはいつも一緒にいるお母さん・お父さんだけが知る愛おしい瞬間がたくさんあって、それ故に我が子への特別な感情が募るからではないかなあと思いました。