家庭医とは:診療範囲について

ブログタイトルにあるように私は家庭医です。
しかし家庭医と聞いてピンと来る人は極少数でしょう。
 
ここでは家庭医とは何かというと少しずつ書いていきたいと思います。
 
医師に専門は何ですか?と聞くとき、多くの人は「○○科です」という答えを期待しています。
それはいわゆる臓器別専門科ですね。消化器内科、循環器科、皮膚科、などです。
 
これはわかりやすい。消化器内科であれば、消化器という臓器をみます。循環器内科であれば循環器という心臓・血管などの臓器をみます。皮膚科であれば皮膚をみるわけです。
 
でも家庭医はこのような分類はなじみません。家庭医というのは、どの臓器をみるのか、という分け方だと該当箇所はないんです。
では実際にどんな病気が守備範囲なのか。
家庭医はどんな人の健康問題にも対応します。そして診療範囲は病気だけに限りません。
家庭医は赤ちゃんからお年寄りまで、男女問わず診ます。病気や症状の種類を限定することはありませんし、病気であるかどうかに関係なくあらゆる健康問題に対応します。
 
ただ、あらゆる健康問題に対応するといっても全ての問題に対して自己完結できるわけではありません。
より専門的な検査や治療が必要な場合もありますから、そのときは大きな病院の特定の科に紹介をして必要な検査や治療をうけてもらうわけです。
例えば癌の治療がそうですし、膝の痛みに対して手術をする、という場合もそうですね。
 
日本では患者さん自身が臓器別専門科を最初から選んで受診をするということは割と普通に行われています。頭が痛いと脳神経外科にいき、咳がすると呼吸器科にいく、というように。
でも私が家庭医だから言うわけではありませんが、いきなり専門科(例えば脳神経外科)にかからるのではなくまず家庭医(近くにいないかもしれませんが…)を受診してほしいと思います。理由は2つあります。
一つは、患者さん自身が適切な科を選択できるとは限らないからです。頭痛の原因が頭の中にあるとは限りません。目や鼻の病気で頭痛がおきていることもあります。
もう一つは、多くの病気は専門科の検査や治療を必要としないからです。頭痛の原因で最も多いのは緊張型頭痛や片頭痛という病気ですが、これらの診断には特別な検査は必要ありませんし、特殊な治療をすることもありません。
家庭医といわずとも相談にのってくれる医師も多いと思います。是非お近くのかかりつけ医に相談してみて下さい。
 
今回は家庭医の特に診療範囲について書いてみました。
まとめると、全ての人にとってあらゆる健康問題をまず相談できる医者が家庭医ということになります。
家庭医とは何者かという点についてはこれだけでは不十分ですので、徐々にその他の点についてもとりあげていきたいと思います。