無症状でも治療をする理由2

前回からの続きです。
糖尿病や高血圧の患者さんは動脈硬化を防いで心筋梗塞脳梗塞を予防するために生活習慣を改善し、治療薬を内服しているという話でした。
 
しかし自分が指導する立場でありながら、こんな思いが多少なりともわいてくることがあります。
そんなに食事制限をして美味しいものを食べられないで、生きている喜びがあるだろうか、と。
 
もちろん、食事だけが人生の関心事ではないし、糖尿病で食事制限をしつつ人生を楽しんでいる方もたくさんいるとは思います。しかし一方で食べることがすごく好きで、食べることが幸福と直結している人もいると思うのです。そのような人にとって食事制限をしながらの生活が果たして幸せと言えるのか。
 
これまで医療は病気の治療を発達させてきました。そしてその中で今度は病気にならないよう予防する、リスクを減らすという観点も重要視されています。
それはそれでいいと思います。
しかし、それが人の幸せにつながるとは限らないという視点も忘れずにいたい。
要は、高血圧で脳卒中のリスクが高くなるのを承知で、多少血圧が高いのは目をつぶり塩分も油も気にせずに豚骨ラーメンを食べる!という選択肢も認めたい…ということです。(もちろん程度問題というのはあると思いますが。)
これも大切な視点だと思っています。