家庭医療のプリンシプル

家庭医として患者さんと関わっていく中で、病気とは何か・健康とは何か・死とは何か…など様々なことを見つめ直す日々です。
 
今回は家庭医とは何かということについて。
家庭医療のプリンシプル=行動原則について、紹介します。
世界的に認知されているプリンシプルは以下のようになっています。
 
家庭医療のプリンシプル McWhinney,1981
・ある医学専門領域の知識、疾患、手技に献身するのではなく、患者に献身する。
・家族や社会などを含む病のコンテクストを理解しようとする。
・毎回の受診を、予防や患者教育の機会として利用しようとする。
・自分の診療の対象を、ある健康問題のリスクに暴露された人口集団と考える。
・自らを人々の支援や診療に関わる地域ネットワークの一部と位置づける。
・患者と同じ地域に住む。
・患者を診療所だけでなく、在宅や病院でも診る。
・医療における主観的な側面や自らを振り返ることを重視する。
・有限な医療資源をマネジメントする役割に自覚的になる。
 
行動原則ですから、家庭医が皆上記のような存在というわけではない(例えば、病院では診療する機会がない家庭医もいます)ですが、これは概ね日本においても当てはまるでしょう。
 
また日本の文脈からみてみると、故五十嵐正紘(元自治医大教授)は家庭医の原理を「長く身近にいて、すべてにかかわること」と言っています。
これを言い換えると、藤沼康樹(医療福祉生協連家庭医療学開発センター長)は「特定の個人、家族、地域に継続的に包括的にかかわること」と述べています。
 
これまで家庭医の診療範囲(20141213家庭医とは:診療範囲について)や家庭医の得意とする問題(20141214)、考え方(20141225-26家庭医について:生物心理社会モデル)などについて記載してきましたが、これらは上記のような家庭医の原理原則に基づいているのです。