うがいって意味あるの?

家庭医として患者さんと関わっていく中で、病気とは何か・健康とは何か・死とは何か…など様々なことを見つめ直す日々です。
 
寒い日が続きます。
去年の12月からインフルエンザの流行が始まり、診療所にも発熱・風邪症状で受診する患者さんが大変多くなりました。皆さんなるべく風邪は引きたくないですよね。どんな風に予防しているでしょうか。
 
昔から、うがい手洗いといわれますね。外来でも私もうがいをしっかりしてくださいね、と患者さんによく言います。
でも人によっては本当に意味あるの?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
 
そうやって疑問に思うことはとても大事なことですよね。昔から言われているからそれが正しいとは言えません。実際に確かめてみないことには。
本当に確かめた人たちがいます。2005年に京都大学の先生らがうがいの予防効果についての論文を発表しており、うがいにはいわゆる風邪を予防する効果があると結論づけています。
ですから、うがいをする意味はあると考えて良いのかもしれません。
 
ただこの研究結果を鵜呑みにしないという態度も大切です。一体どんな研究をして結論を出したのか。そのやり方は妥当なのか。
それでは研究について少し詳しく見ていきましょう。
研究は2002-2003年にかけての冬に、健康な18-65歳の男女387名に対して行われています。
うがいをするグループ、しないグループ、イソジンでうがいをするグループの3つにわけて60日間での風邪の発生を比較しています。
結果としては全部で130名が風邪にかかったのですが、そのうちうがいをしたグループは34名、しないグループは50名、イソジンでうがいをしたグループは46名でした。
うがいをしたグループはしないグループより16人風邪になる人が少なかったわけで、これは統計学的に有意差があった(偶然ではないと考えられた)ので、うがいには風邪予防効果があるという結論になったのです。
ちなみにその予防効果のメカニズムについては、物理的に病原体を除去する効果などが推測されています。
 
ただ、この研究での「うがい」は水20mlを20秒間、少なくとも1日3回するというものです。さて、うがいを20秒間も1日3回もしますか?普段はそれほどしないのではないでしょうか。それだけやって、上記の効果です。日常でやるようなうがいでは言うほどの効果はないかもしれませんね。
 
その上で、うがいはおすすめします。効果は少しはありそうで、有害なことはないと考えられるからです。
そういうことは積極的にしていいと思っています。
 
でも実際には効果があるのかないのか、検証されているかどうかもわからないものが氾濫していますね。健康食費の類いはほとんどそうでしょう。しかも口にいれるわけですから有害である可能性は十分にあります。
こういったものはよっぽど注意した方がよいだろうと思います。
 
参考文献:

Prevention of Upper Respiratory Tract Infections by Gargling A Randomized Trial

Am J Prev Med 2005;29(4):302–307