医療と市場原理

家庭医として患者さんと関わっていく中で、病気とは何か・健康とは何か・死とは何か…など様々なことを見つめ直す日々です。
 
医療に市場原理を当てはめるべきではないという話。
 
内田樹著:街場のメディア論より
「患者は消費者であり、病院は店舗であり、そこで医療サービスという「商品」が売り買いされている。患者は消費者ですから、最低限の代価を以て、最大限の医療サービスを要求することを義務づけられている。そして、患者が仮借なく消費者としてふるまえば、代価に見合わない高コストの医療サービスを提供している医療機関は淘汰され、低コスト、高品質の医療サービスを提供できる機関だけが生き残り、日本の医療水準はぐんぐん向上する」
このような市場原理主義の導入が医療現場の荒廃をもたらしたと言っています。
 
私はこの考え方に基本的に賛成です。
昔どこかで「医療は究極のサービス業」と聞いたことがあります。確かにサービス業の側面はあるのかもしれませんが、患者が消費者で医療者が売り手というのは何か違和感があるなと感じていました。
 
市場原理でいくと、基本的な考えとして利潤の追求がその目的になってしまいますが、医療機関が利潤の追求を第一目的とするのはふさわしいとは思えません。また患者さん側も消費者として「いいものをより安く」みたいな考え方をするとしたらそれも医療サービスの利用の仕方として適当ではないと思います。
 
それは医療の起源がそもそも市場経済などよりも遥かに古く、人が生きる上での根源的なところに関わるからなのではないでしょうか。
しかしでは医療とは何なのか。まだまだ言語化するのは難しい…。