リスクを下げてどうするのか

家庭医として患者さんと関わっていく中で、病気とは何か・健康とは何か・死とは何か…など様々なことを見つめ直す日々です。
 
高血圧の話。
2014年4月に公表された高血圧治療ガイドラインからです。
ガイドラインによれば、血圧水準と心血管病リスクの間には段階的、連続的な正の相関があります。日本での大規模な研究における分析によると、40-64歳の中年者、65-74歳の前期高齢者においてほぼ対数直線的であり、傾きは年齢が若いほど高く、また至適血圧のリスクが最も低いことが示されています。75-89歳の後期高齢者でも血圧水準とともに心血管死亡リスクは高くなる傾向にあります。
 
これだけ読むと、「そうか、やはり高血圧はだめなんだ」となり、そして「血圧を下げれば寿命がのびる」なんて思ったりしませんか。
実際日本の平均寿命は年々延びていますから、それを否定するつもりはありません。
しかし、大事なことは人は必ず死ぬということ。リスクを極限まで下げようと、死ぬことからは逃れられません。
限られた時間ですから、血圧の数値に一喜一憂しすぎなくてもいいかもしれません。細かいことは医者に任せて…などと考えることがあります。